EPISODE 10 in 1960年〜

過去の敵は、大切な友に。
未来へ連なる思わぬご縁。

この話はご縁のあるエピソードNo.4にもまつわるお話し。

令和元年、当社とお付き合いのあるお客様から土地売却のご相談をいただいたことがきっかけでした。見せていただいた土地は、弊社では扱うことが難しい規模である広大な「土地X」。ただ、そこで諦めることをせず、この土地を扱える事業規模が大きな会社様との連携を模索していきました。数社のご担当者様と打ち合わせを行い、購入の検討を進めていただく中で、条件に合うA社と出会いました。そのご担当者様とこんなエピソードがありました。

打ち合わせが始まる前に、A社ご担当者様がこんなお話をしてくださったのです。
「実は私、数年前三ツ境の幼稚園用地(エピソードNo.4の土地)が売りに出された際に、丸三さんと最後の最後まで競合した企業の担当者なんです。あの物件は私自身にとって大変思い入れのある物件でした。なぜなら私は地元が三ツ境で、あの幼稚園の卒園生なんです。自分が卒園した幼稚園をなんとか譲り受け、事業にしたいと考えていたのですが、売主様が丸三さんにお譲りしたことをお伺いし、大変残念に感じたことを思い出しました」。

実際、あの幼稚園用地の購入には最後まで条件面で競合している会社様がいたと売主様から伺っていました。通常取引が完了してしまえば昔の話は過去のこととなってしまうのですが、いざ当時のご担当者様を目の前にすると、条件面で競い合った苦い思い出がよみがえります。

購入できた当社と、購入できなかった相手方。少し隔たりを感じつつも当時の思い出話や苦労話、内輪話など会話もはずみお互いの距離は少しづつ縮まっていきました。以前は同じ物件を検討していたこともあり「土地X」に関する話への理解もはやく、やりとりはスムーズに進みます。複数いた購入希望者の中でもA社様に好条件をご提示いただき、無事ご契約まで進むかと思われました。しかし、売主様の希望条件との乖離があり、しばらく考える時間を設けることに。うまくいくと思われていた商談は暗礁に乗り上げてしまいました。

それから数ヶ月後。私は休日ということもあり普段は行かない銭湯へ、たまたま子供と出かけていました。家族と過ごす平和で平凡な休日に、幸せを感じながらお風呂につかっていると、そこには以前商談をしていたA社のご担当者様が。二人とも顔を見合わせて「こんなところで会えるとは、ご縁がありますね。」と微笑みました。お互い同じ幼稚園出身で、同じ幼稚園の購入を検討し、その後バッタリ銭湯でもお会いする。続いてきたご縁がこの後も続いていくことを願い「また、ご縁があるといいですね。」と商談が止まっている土地への期待を語りつつ、良い雰囲気のまま談笑を続けました。

そこからさらに数ヶ月。商談が止まっていた「土地X」の売主様から連絡があり、「丸三さん。まだ、A社さんは土地の購入を考えてくれていますでしょうか。やっぱり売ろうと決心しましたので、もう一度お話できますか。」と、お声をかけいただきました。それから、両者話し合いのすえ条件面もまとまり、契約を完了することができました。少しずつ紡がれてきたA社ご担当者様とのご縁は無事、手をつなぐ形で区切りをつけることができました。

同じ幼稚園出身で、同じ土地の購入を検討し、ふと訪れた銭湯でばったり出会い、同じ仕事に取り組むことに。
最初は競合相手だった関係性も、今では信頼し合える仲間のように、同業者として助け合いながらいくつかの取引をさせていただくことになりました。
過去から現在へ繋げられたこのご縁は、この先の未来へも少しずつ広がり続けています。