EPISODE 07 in 2005年11月

かけがえのないご縁をつないだのは、
10年以上、毎月つづけた世間話。

創業から現在に至るまで、地域密着の不動産企業として経営をつづけている丸三。
大々的なコマーシャルを行っていないため、「丸三ってどんな会社なの?」と思われる方も多くいらっしゃいます。
だからこそ、日頃から大切にしているのが、お客さまとのコミュニケーションです。
たとえ雑談だとしても、お互いを知るきっかけとなり、信頼関係を育んでくれていることもあります。

1990 年代のことです。当時の丸三には、あるルーティーンがありました。
それは毎月月末になると、駐車場の賃料を支払いにきてくれる女性と、ほんの少しだけ会話をするというもの。
はじめの頃は互いに様子を伺うようなものでしたが、回数を重ねるうちに、他愛もない世間話をするようになっていきました。

その習慣が数年間つづいたある日。
いつものように賃料を持って訪れた女性から相談を受けることになります。

「そろそろ娘にも一人暮らしをしてもらおうと思っていてね。丸三さん、いい物件をご紹介いただけませんか?」

話を聞いていくと、娘さんは賃貸住宅ではなく、資産となるよう住宅ローンを払ってマンションを購入したいとのこと。

「わかりました。いまご提案できる物件を探してみますね」

お聞きした予算感から、そのときに提案したのがリノベーション物件。
いまでこそ当たり前のように目にするようになりましたが、当時ではまだ珍しい部屋でした。

「一人暮らしには十分な広さだと思います。リノベーションされているので、とてもきれいな部屋なんですよ。また新築ではないので、お買い求めやすい価格になっています」

「ありがとう。帰って娘にも聞いてみます」

その後、提案をした物件をお母さまと娘さんが内見に訪れました。 すると内見から1時間も経たないうちに、娘さんから連絡がはいったのです。

「ご紹介いただいたお部屋を購入したいので、手続きに伺ってもよろしいでしょうか?」

あまりにも早い決断に驚きつつも、購入手続きまで滞りなく終えることができました。

それから10年ほど経った2005年。
お母さまの駐車場は解約されたものの、街でお会いすれば挨拶をしたり、ちょっとだけ話をしたり、変わらず良好な関係はつづいていました。
そんなある日、久しぶりに娘さんから連絡が入ります。

「その後、結婚をして夫と子どもの3人で暮らしているんです。ただ今のマンションでは少し手狭になってきました。一軒家を建てたいので、いい土地ありませんか?」

「おめでとうございます!探してみますが、なにかご希望はありますか?」

「実は他社で紹介している土地がいいと思っているんです。どうにか丸三さんで取り扱うことはできないでしょうか……」

「わかりました。調査してみますね」

その後、長年地元で培ってきた豊富なネットワークを活用し、詳細まで調べたものの、残念ながらその物件は丸三では取り扱いができない物件でした。

「申し訳ありません。当社では取り扱えない物件になっているようで……」

「そうなんですね……。ぜひ丸三さんにお願いしたかったので残念です。では、私のマンションの売却はできませんか?
それは絶対に、和田さんにお願いしたいんです」

「もちろん可能です!ありがとうございます」

新しい家での生活もスタートし、マンションの売却も無事に成立。
それからも、三ツ境駅の近くでお会いしたときには、お互いが声をかけあうようになりました。

お母さまと出会ってから20年以上。
毎月、顔を見て、さまざまな話をしていくうちに、自然と信頼できる不動産のパートナーになれたような気がします。
そんなお母さまの姿を娘さんが見てくれていたからこそ、親子2世代に渡って、丸三を大切に思ってくださっている。
テレビCMのような影響力はないかもしれませんが、日頃の他愛もない会話こそ、かけがえないご縁を紡いでくれるものです。